新型コロナウイルスのパンデミックによる対ベトナム直接投資(FDI)および入居企業様への影響
2012年の設立以来、KIZUNAは第4次産業革命(Industry 4.0)の流れの中で、Ready-Builtサービス工場という新しい工業団地モデルを展開しているパイオニアです。KIZUNAは、ホーチミン市やロンアン省における工業団地の開発およびFDIの誘致に30年以上の経験を持つドァン・ホン・ユン(Doan Hong Dung)により設立されました。
現在KIZUNAサービス工場には、裾野産業、ハイテク産業、電子部品、精密機械、ファッションなど、異なる産業分野から約120社の製造業企業様が入居されています。その90%近くがFDI企業で、うち日本企業が40%以上、韓国企業が約25%を占めています。
新型コロナウイルスの流行は世界経済に影響を与えており、KIZUNAの入居企業様も影響を受けています。しかし、入居企業様に効率的で安心な製造環境を提供する使命を持つKIZUNAは、入居企業様と協力してこの困難を乗り越え、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が収束した後も、持続的な成長を続けていけると信じております。
KIZUNAの取締役会は、ベトナムへのFDI誘致の経験を持つKIZUNA外資系企業様専門チームとオンラインミーティングを重ね、今の対ベトナム直接投資の状況について話し合いました。
日系企業様および英語圏の企業様を担当する白川誠子によると——
ベトナムが新型コロナウイルスをうまく制御し、パンデミックを最小限の損失で乗り越えた後、国境を迅速に開くことができれば、新型コロナウイルスの流行が収束した後、ベトナムへのFDIの流入は続くでしょう。
2019年に起こった香港の暴動に続き、今回発生した新型コロナウイルスによるリスクを避けるために国際企業の中国離れが続いているなかで、ベトナムは安全な進出先です。ベトナム社会は持続的に発展しているだけでなく、新型コロナウイルスに対しても、ベトナム政府は国内の流行を食い止めるために思い切った措置をとっています。
日系企業に関して言えば、米中貿易戦争から得られる大きな利益はないため、新型コロナウイルスのパンデミック収束後は、日系企業のベトナムに対するFDIは増加するでしょう。今回のことで日系企業は、中国に頼るのではなく、複数国に分散した経営の必要性を感じています。現在、多くの日本企業は中国に工場を持っており、中国から原料を輸入していますが、今回のパンデミックにより、日中間の物流は遅延または停止しており、日本における製品の生産・供給およびサービスに大きな影響を与えています。
ベトナムに投資をシフトすると、人件費・生産費が削減できるだけでなく、中国に依存することによるリスクを避けられるため、日系企業によるベトナムへの投資はより迅速に促進されるでしょう。
この時期、日系企業や英語圏の企業はベトナムの投資環境の調査を続けており、KIZUNAの新設工場も特にオンラインで調査されています。今は国境閉鎖状態のため、投資決定に関わる現地調査は延期されています。工場投資の規模も、今後の投資・事業計画に合わせて検討されているところです。
韓国企業を担当するナム・キョン・ワン(Nam Kyoung Wan)によると——
新型コロナウイルスの影響による中国からベトナムへのFDIの流入は、米中貿易戦争の影響を受けた2019年と同じではありません。新型コロナウイルスの流行はグローバルサプライチェーンで生産の混乱を引き起こしました。
これまでの他の経済危機とは違い、世界経済は需要と供給の両面で苦しむでしょう。多国籍企業は新規投資の少なくとも30%を削減します。つまり、ベトナムへのFDIの流入も前年と比べて30%減少するでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックが2カ月以内に収束しない場合、大企業はその財務レバレッジのため大きなプレッシャーにさらされます。そのような金融不安の最中に、自国ましてや他国への投資を考える企業はありません。パンデミックを乗り切るのに精一杯なのです。
今はベトナム政府が、FDI企業を維持し、困難の克服を支援するための政策を打ち立てるべき時です。外資系企業がベトナム政府からの誠実なサポートを感じられれば、世の中が平常に戻った時に、外資系企業は必ず、ベトナムにいっそう大きな投資をもたらしてくれるでしょう。
2020年4月1日のアオキベトナム工場(日系企業)の生産活動。
新型コロナウイルスの流行により、多くの企業は操業の一時停止または生産規模の縮小を余儀なくされました。KIZUNAでは、約25%の企業が生産を縮小しており、そのほとんどは食品加工業で、ベトナム政府の要請を受け、現在営業を停止しているレストランチェーンやホテル向けの製品を製造している企業です。また、新型コロナウイルスの影響で、中国からの投入原料の輸入が遅延したり、外国人労働者がテト休暇後にベトナムに戻れなくなっている企業もあります。
入居企業様に効率的で安心な生産環境を提供するという使命のもと、KIZUNAは完全かつ同期的な技術インフラを備えた生産スペースとユーティリティ、生産活動のために最適に設計された工場をご提供いたします。また、KIZUNAのスタッフは、ベトナムへの投資調査の段階からKIZUNAでの操業の過程全体を通して、総合サポートサービスのエコシステムをご提供し、入居企業様の持続可能な成功をお手伝いいたします。
KIZUNAチームは入居企業様と密に連携し、この困難を乗り越えます。まず、工場のレンタル料の支払いを2020年第2四半期に延長し、利息を請求したり、工場再契約の署名済み契約書に記載されたレンタル料を引き上げたりすることはございません。カスタマーサービスチームは、必要なときにいつでもサポートとアドバイスをご提供し、外国人労働者に関する規制に準拠し、国家管理機関・税務当局・銀行などのガイドラインを更新し、この期間中の入居企業様の財政負担を軽減し、入居企業様が適切なチャネルによってベトナムでの市場を拡大できるよう支援いたします。
KIZUNAはさまざまなシナリオを想定して事業継続計画を策定し、パンデミックの間に起こる出来事への対応を進めてまいりました。KIZUNA安全委員会は、政府の指示・地方の規制機関および新型コロナウイルス疾病予防と制御のための国家運営委員会のガイドラインに従い、KIZUNAサービス工場内における疾病の拡大防止対策を実施するため、入居企業様に広くお伝えし、ご協力いただいております。
KIZUNA3サービス工場で建設中のReady Serviced Spaceは2020年第4四半期に利用開始予定で、新型コロナウイルスの収束後にもFDIを誘致する。
以上のように、ベトナム政府は既存のFDI企業を支援し、将来のFDI企業を誘致するための政策を策定していると同時に、新型コロナウイルスのパンデミックへの思い切った対応を取っております。それに加えて、中国から投資をシフトする動き、さらに、ベトナムとの貿易協定によってもたらされる利益が享受できることなどから、今後もベトナムへのFDIの流入は増加し続けると思われます。
KIZUNAのウェブサイトはこちら:https://www.kizuna.vn/ready-serviced-space/
現在の国家産業開発戦略において、ベトナムはますます効率的で安心感および透明性のある投資環境であり、世界の中でも魅力のある投資先のひとつであり続けると私たちは考えております。